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E.109. リリース9.0.15

リリース日: 2013-12-05

このリリースは9.0.14に対し、各種不具合を修正したものです。 9.0メジャーリリースにおける新機能については、E.124. リリース9.0を参照してください。

E.109.1. バージョン9.0.15への移行

9.0.Xからの移行ではダンプ/リストアは不要です。

しかしながら、本リリースは多くのデータ破損が発生する可能性がある問題を修正しています。下記に示すはじめの2つの変更点を確認し、使用しているインストレーションが影響を受けるか、その場合どのような処置を施すべきか判断してください。

また、9.0.13以前のリリースからアップグレードする場合は、E.111. リリース9.0.13を参照して下さい。

E.109.2. 変更点

  • relfrozenxidの値を更新するかどうか判定するVACUUMの処理を修正しました。(Andres Freund)

    2^31のトランザクションが経過するたびに、VACUUM (手作業によるものでも、自動バキュームでも)が誤って、 テーブルのrelfrozenxid値を増加させ、タプルが凍結されず、それらの行が見えなくなってしまう可能性がありました。 実際にデータ損失が発生する前に、複数の誤った値の増加が発生することが前提であるため、データが損失する可能性は、きわめて低いですが、ゼロではありません。 9.0.4、8.4.8、もしくは、それ以前のバージョンからアップグレードする場合は、影響を受けません。しかし、それ以後のバージョンはすべて、このバグが存在しています。

    この問題は、アップグレード後、vacuum_freeze_table_ageを ゼロに設定し、全データベースの全テーブルをバキュームすることにより改善できます。 これにより、データ損失が発生する可能性が修正されますが、すでに存在しているすべてのデータエラーは修正できません。 しかしながら、その存続期間内2^31以下の更新トランザクションしか実行されていない場合(これは、SELECT txid_current() < 2^31を実行することで確認できます。)、 そのインストレーションは、このバキュームを実行することで安全だと言うことができるでしょう。

  • ホットスタンバイ起動中のpg_clogpg_subtransの初期化処理を修正しました。(Andres Freund、Heikki Linnakangas)

    このバグはコミットされたトランザクションがコミットされてないとマークされることにより、ホットスタンバイでの問い合わせを受け付け始めるときにスタンバイサーバのデータ損失が発生する原因となっていました。 スタンバイサーバが起動するときに、プライマリサーバは最後にチェックポイントが発生してからの多くの更新トランザクションを実行していない場合、データ損失が発生する可能性は小さいです。 行が損失してしまう現象や、削除されたはずの行が可視になる現象、更新前の行データが更新後の行データとともに残ってしまう現象が発生します。

    このバグは、9.3.0, 9.2.5, 9.1.10, 9.0.14のバージョンで起こります、 これ以前のバージョンで稼働しているスタンバイサーバでは発生するリスクはありません。 不具合のあるリリース上で稼働しているスタンバイサーバは、アップグレード後、(たとえば、新しくベースバックアップをとるなどの方法で)プライマリサーバから複製し直すことを推奨します。

  • WAL再生中にpg_multixactのデータを切り詰めるようにしました。(Andres Freund)

    これにより、スタンバイサーバにおいて増え続けていたディスク容量消費を避けることが出来ます。

  • GINインデックスがツリーページを削除する際の競合条件を修正しました。(Heikki Linnakangas)

    これにより、一時的な誤った応答やクエリの失敗が発生する可能性がありました。

  • 副問い合わせのSELECT内部にラップされた揮発性関数をもつSELECTの副問い合わせの平坦化を避けるようにしました。(Tom Lane)

    これにより、揮発性関数の余計な計算による予期しない結果を避けることができます。

  • 単純な変数以外の副問い合わせ結果が外部結合内でネストしている場合に関するプランナの処理を修正しました。(Tom Lane)

    このエラーのせいで、JOINの中で、複数のレベルの副問い合わせを含む問い合わせに対して誤ったプランが選ばれる可能性がありました。

  • 一時ファイルの早すぎる削除を修正しました。 (Andres Freund)

  • ルールの出力時にメモリの最後を超えて読もうとする可能性があることを修正ました。(Peter Eisentraut)

  • int2vectoroidvectorの部分配列を修正しました。(Tom Lane)

    これらの表現は現在、暗黙的に通常のint2もしくは、oidの配列に昇格させられます。

  • SQL標準である単純なGMTオフセットタイムゾーンを使う際の誤った振る舞いを修正しました。(Tom Lane)

    単純なオフセットが選ばれる前に優勢になるべき通常のタイムゾーン設定を使うべきときにも、システムが単純なGMTオフセットの値を使う場合がありました。この変更は、timeofday関数が、単純なGMTオフセットを選ぶ原因にもなっていました。

  • Windowsエラーコード変換のログ取得時に発生する可能性があった誤った振る舞いを防止しました。(Tom Lane)

  • pg_ctlにおいて、生成されたコマンドラインを正しく引用するよう修正しました。(Naoya Anzai、Tom Lane)

    この修正は、Windows版のみに適用されます

  • バックアップ元のデータベースがALTER DATABASE SET経由で、default_transaction_read_onlyを設定するときのpg_dumpallの動きを修正しました。(Kevin Grittner)

    以前は、生成されたスクリプトがリストア中に失敗していました

  • ecpgについて、varcharが宣言された変数のリストに関する処理を修正しました。(Zoltán Böszörményi)

  • contrib/loを誤ったトリガ定義から保護します。(Marc Cousin)

  • 時間帯データファイルをtzdataリリース2013hに更新しました。 アルゼンチン、ブラジル、ヨルダン、リビア、リヒテンシュタイン、モロッコ、およびパレスチナでの夏時間の変更が含まれます。 インドネシアで使用されている新しい時間帯の略号、WIB, WIT, WITAが追加されました。