COPY table_name [ ( column_name [, ...] ) ]
FROM { 'filename' | PROGRAM 'command' | STDIN }
[ [ WITH ] ( option [, ...] ) ]
COPY { table_name [ ( column_name [, ...] ) ] | ( query ) }
TO { 'filename' | PROGRAM 'command' | STDOUT }
[ [ WITH ] ( option [, ...] ) ]
ここでoptionは以下のいずれかです。
FORMAT format_name
OIDS [ boolean ]
FREEZE [ boolean ]
DELIMITER 'delimiter_character'
NULL 'null_string'
HEADER [ boolean ]
QUOTE 'quote_character'
ESCAPE 'escape_character'
FORCE_QUOTE { ( column_name [, ...] ) | * }
FORCE_NOT_NULL ( column_name [, ...] )
FORCE_NULL ( column_name [, ...] )
ENCODING 'encoding_name'
COPYコマンドは、PostgreSQLのテーブルと標準のファイルシステムのファイル間でデータを移動します。 COPY TOコマンドはテーブルの内容をファイルにコピーします。 また、COPY FROMコマンドは、ファイルからテーブルへとデータをコピーします(この時、既にテーブルにあるデータにコピーした内容を追加します)。 また、COPY TOによりSELECT問い合わせの結果をコピーすることができます。
列リストが指定されている場合、COPYは、指定された列のデータのみをファイルからまたはファイルへコピーします。 列リストに含まれていない列がテーブル内にある場合、COPY FROMはそれらの列にデフォルトの値を挿入します。
ファイル名付きのCOPYコマンドは、PostgreSQLサーバに対して直接ファイルへの読み書きをするように命じます。 指定したファイルは必ずPostgreSQLユーザ(サーバを実行しているユーザID)からアクセスできる必要があります。 また、ファイル名はサーバから見たように指定されなければなりません。 PROGRAMが指定された場合、サーバは指定したコマンドを実行しその標準出力を読み取る、または、プログラムの標準入力に書き出します。 コマンドはサーバからの視点で指定しなければならず、また、PostgreSQLユーザによって実行できなければなりません。 STDINやSTDOUTが指定された場合、データはクライアントとサーバ間を流れます。
既存のテーブルの名前です(スキーマ修飾名も可)。
コピー対象の列リストで、省略可能です。 列リストが指定されていない場合は、テーブルの全ての列がコピーされます。
指定したSELECTコマンドまたはVALUESコマンドの結果がコピーされます。 問い合わせを括弧でくくる必要があることに注意してください。
入出力ファイルのパス名です。 入力ファイル名は絶対パスでも相対パスでも記述することができますが、出力ファイル名は絶対パスでなければなりません。 Windowsユーザの場合、E''文字列を使用し、パス名内のバックスラッシュを二重にする必要があるかもしれません。
実行するコマンドです。 COPY FROMでは、入力はコマンドの標準出力から読み取られ、COPY TOでは、出力はコマンドの標準入力に書き出されます。
コマンドはシェルから呼び出されることに注意してください。 このためシェルコマンドに信頼できない入力元からの任意の引数を渡す必要がある場合、シェルにとって特殊な意味を持つかもしれない特殊文字の除去やエスケープを注意深く実施してください、 セキュリティ上の理由のため、固定のコマンド文字列を使用することが最善です。または少なくともユーザからの入力が渡されることを防止してください。
入力がクライアントアプリケーションからであることを指定します。
出力がクライアントアプリケーションへであることを指定します。
指定のオプションを有効とするか無効とするかを指定します。 オプションを有効にするには、TRUE、ONまたは1と、無効にするにはFALSE、OFFまたは0と記述します。 またboolean値は省略可能であり、省略時はTRUEとみなされます。
読み取りまたは書き込みに使用するデータ形式を選択します。 text、csv(カンマ区切り値)、またはbinaryです。 デフォルトはtextです。
各行のOIDをコピーするよう指定します (OIDを持たないテーブルにOIDSを指定する場合、または、queryコピーの場合、エラーが発生します)。
VACUUM FREEZEコマンドを実行した直後の、凍結状態の行を用いたデータコピー処理を要求します。 これは、初期データロード処理用の性能オプションとしての利用を意図しています。 ロード元のテーブルが現在の副トランザクションで作成または切り詰めされ、開いているカーソルは存在せず、またこのトランザクションで保持される古めのスナップショットが存在しない場合のみ、行は凍結されます。
データのロードに成功すると、他のすべてのセッションから即座にデータが参照可能になることに注意してください。 これはMVCC可視性に関する一般的な規則に違反しますので、指定するユーザはこれが引き起こすかもしれない潜在的な問題に注意しなければなりません。
ファイルの各行内の列を区切る文字を指定します。 テキスト形式でのデフォルトはタブ文字、CSV形式ではカンマです。 これは単一の1バイト文字でなければなりません。 このオプションはbinary形式を使用する場合は許されません。
NULL値を表す文字列を指定します。 デフォルトは、テキスト形式では\N(バックスラッシュN)、CSV形式では引用符のない空文字です。 NULL値と空文字列を区別する必要がない場合は、テキスト形式であっても空文字列を使用した方が良いかもしれません。 このオプションはbinary形式を使用する場合は許されません。
注意: COPY FROMの場合、この文字列と一致するデータ要素はNULL値として格納されます。 COPY TO実行時に使用した同じ文字列を使用するようにしてください。
ヘッダ行を含むファイルを指定します。 このファイルには各列の名前が記載されています。 出力では、先頭行にテーブルの列名が入り、入力では先頭行は無視されます。 このオプションはCSV形式を使用する場合にのみ許されます。
データ値を引用符付けする際に使用される引用符文字を指定します。 デフォルトは二重引用符です。 これは単一の1バイト文字でなければなりません。 このオプションはCSV形式を使用する場合にのみ許されます。
データ内の文字がQUOTEの値と一致する場合に、その前に現れなければならない文字を指定します。 デフォルトはQUOTEの値と同じです(このためデータ内に引用符用文字があるときは二つ続けます)。 これは単一の1バイト文字でなければなりません。 このオプションはCSV形式を使用する場合のみ許されます。
指定された各列内にある全ての非NULL値を強制的に引用符で囲みます。 NULL出力は引用符で囲まれません。 *が指定された場合、非NULL値はすべての列で引用符付けされます。 このオプションはCOPY TOにおいて、かつ、CSV形式を使用する場合のみ許されます。
指定された列の値をNULL文字列に対して比較しません。 NULL文字列が空であるデフォルトでは、空の値は引用符付けされていなくてもNULLではなく長さが0の文字列として読み取られることを意味します。 このオプションはCOPY FROMにおいて、かつ、CSV形式を使用する場合のみで許されます。
指定された列の値を、それが引用符付きであったとしても、NULL文字列と比較し、一致した場合は値をNULLにセットします。 NULL文字列が空であるデフォルトでは、引用符付きの空文字列をNULLに変換します。 このオプションはCOPY FROMで、かつCSV形式を使用する場合のみ許されます。
ファイルがencoding_nameで符号化されていることを指定します。 このオプションが省略された場合、現在のクライアント符号化方式が使用されます。 後述の注釈を参照してください。
正常に完了した場合、COPYコマンドは以下の形式のコマンドタグを返します。
COPY count
countはコピーされた行数です。
注意: psqlはコマンドがCOPY ... TO STDOUTであった場合、および、それと同等なpsqlのメタコマンド\copy ... to stdoutであった場合は、このコマンドタグを表示しません。 これは、コマンドタグが表示されたデータと混同されないようにするためです。
COPYは通常のテーブルに対してのみ使用することができます。 ビューに対して使用することはできません。 しかし、COPY (SELECT * FROM viewname) TO ...と記述することはできます。
COPYは指定された特定のテーブルのみを扱います。 つまり子テーブルへまたは子テーブルからのデータのコピーは行いません。 したがって例えば、COPY table TOはSELECT * FROM ONLY tableと同じデータを示します。 しかしCOPY (SELECT * FROM table) TO ...を使用して、継承階層内のすべてのデータをダンプすることができます。
COPY TOの場合は値を読み込むテーブルに対するSELECT権限が、COPY FROMの場合は値を挿入するテーブルに対するINSERT権限が必要です。 コマンド内で列挙された列に対する列権限があれば十分です。
COPYコマンドで指定するファイルは、クライアントアプリケーションではなく、サーバが直接読み込み/書き込みを行います。 したがって、それらのファイルは、クライアントではなく、データベースサーバマシン上に存在するか、または、データベースサーバマシンからアクセス可能である必要があります。 さらに、クライアントではなく、PostgreSQLユーザ(サーバを実行しているユーザID)が、アクセス権限と読み書き権限を持っている必要があります。 同様に、PROGRAMで指定されたコマンドは、クライアントアプリケーションではなくサーバにより直接実行されるため、PostgreSQLユーザによって実行可能でなければなりません。 ファイル名またはコマンドを指定したCOPYの実行は、データベースのスーパーユーザのみに許可されています。このコマンドによって、サーバがアクセス権限を持つ全てのファイルの読み込み、書き込みが可能になってしまうためです。
COPYをpsqlの\copyと混同しないでください。 \copyはCOPY FROM STDINやCOPY TO STDOUTを呼び出し、psqlクライアントからアクセスできるファイルにデータの書き込み/読み込みを行います。 したがって、\copyコマンドでは、ファイルへのアクセスが可能かどうかと、ファイルに対するアクセス権限の有無は、サーバではなくクライアント側に依存します。
COPYでファイル名を指定する時は、常に絶対パスで記述することをお勧めします。 COPY TOコマンドの場合はサーバによって絶対パス指定に変更させられますが、COPY FROMコマンドでは相対パスで指定されたファイルを読み込むことも可能となっています。 後者では、クライアントの作業ディレクトリではなく、サーバプロセスの作業ディレクトリ(通常はクラスタのデータディレクトリ)からの相対的なディレクトリとして解釈されます。
PROGRAMを用いたコマンド実行は、SELinuxなどのオペレーティングシステムのアクセス制御機構によって制限されるかもしれません。
COPY FROMは、宛先テーブル上で任意のトリガと検査制約を呼び出しますが、ルールは呼び出しません。
COPYの入出力はDateStyleの影響を受けます。 デフォルト以外のDateStyleが設定された可能性があるPostgreSQLインストレーションとの移植を確実に行いたい場合は、COPYを使う前にDateStyleをISOに設定しなければなりません。 また、IntervalStyleをsql_standardとしてデータをダンプすることは避けることを勧めます。 負の時間間隔値が別のIntervalStyle設定を持つサーバで誤解釈される可能性があるためです。
たとえデータがクライアント経由ではなくサーバにより直接ファイルから読み書きされるとしても、入力データはENCODINGオプションまたは現在のクライアント符号化方式にしたがって解釈され、出力データはENCODINGオプションまたは現在のクライアント符号化方式で符号化されます。
COPYでは、エラーが発生するとすぐに処理を停止します。 COPY TOコマンドの実行では何ら問題ありませんが、COPY FROMの場合は、対象となるテーブルは初めの方の行を既に受け取っています。 これらの行は不可視となり、アクセスすることもできませんが、ディスク領域を占有します。 したがって、大きなコピー処理がかなり進んだ後で失敗した場合には、それなりの量の無駄なディスク領域が使われてしまいます。 この無駄な領域を取り戻すには、VACUUMを行う必要があります。
FORCE_NULLとFORCE_NOT_NULLは同じ列について同時に使うことができます。 その場合の結果は、引用符付きのNULL文字列をNULL値に変換し、引用符なしのNULL文字列を空文字列に変換します。
text形式を使用する場合、読み書きされるデータはテーブルの1つの行を1行で表したテキストファイルとなります。 行内の列は区切り文字で区切られます。 列の値自体は、その属性のデータ型の出力関数で生成された、または、その入力関数で受け付け可能な文字列です。 値がNULLの列では、代わりに指定されたNULL値を表す文字列が使用されます。 入力ファイルのいずれかの行にある列数が予期された数と違う場合、COPY FROMはエラーを発生します。 OIDSが指定された場合、OIDは、ユーザデータの列の前にある、1番目の列として読み書きされます。
データの終了は、バックスラッシュとピリオド(\.)のみから構成される1行で表されます。 ファイルの終了により同じ動作になるので、ファイルからの読み込みの場合はデータ終了マークは不要です。 しかし、3.0以前のクライアントプロトコルを使用したクライアントアプリケーションとデータのコピーを行う場合だけは、読み込み、書き込みを問わず、終了マークが必要です。
バックスラッシュ文字(\)は、COPY対象データ内で、行や列の区切り文字と判定される可能性があるデータ文字列の引用符付けに使用します。 特に、バックスラッシュ自体、改行、復帰、使用中の区切り文字などの文字が列の値に含まれている場合は、必ず前にバックスラッシュを付けなければなりません。
指定されたNULL文字列はバックスラッシュを付けずにCOPY TOに送られます。 一方、COPY FROMでは、バックスラッシュを削除する前にNULL文字列と入力を比較します。 したがって、\NといったNULL文字列が実際の\Nというデータ値と混乱することはあり得ません。 (これは\\Nとして表現されます。)
COPY FROMは、バックスラッシュで始まる次のような文字の並びを識別します。
文字の並び | 表現 |
---|---|
\b | バックスペース(ASCII 8) |
\f | 改ページ(ASCII 12) |
\n | 改行(ASCII 10) |
\r | 復帰(ASCII 13) |
\t | タブ(ASCII 9) |
\v | 垂直タブ(ASCII 11) |
\数字 | バックスラッシュに続き1から3個の8進数の数字をコード番号として指定すると、そのコード番号が表す文字を指定できます。 |
\xdigits | バックスラッシュ、x という並びに続き1から2個の16進数の数字を指定すると、そのコード番号が表す文字を指定できます。 |
上表で記載されていないバックスラッシュ付きの文字はすべて、その文字自体として解釈されます。 しかし、不要なバックスラッシュの追加には注意してください。 偶然にデータの終わりを示す印(\.)やヌル文字列(デフォルトでは\N)と合致する文字列を生成してしまうかもしれないためです。 これらの文字列は他のバックスラッシュの処理を行う前に解釈されます。
COPYデータを生成するアプリケーションは、データ内の改行と復帰をそれぞれ、\nと\rに変換することを強く推奨されています。 現在のところ、バックスラッシュと復帰文字でデータ内の復帰を表したり、バックスラッシュと改行文字でデータ内の改行を表すことが可能です。 しかし、こういった表現は今後のリリースでは、受け付けられなくなる可能性があります。 また、COPYファイルが異なるマシンをまたがって転送される場合、破損するおそれがかなりあります (例えば、UnixからWindowsあるいはその逆)。
COPY TOは各行の行末にUnix形式の改行("\n")を出力します。 なお、Microsoft Windowsで稼働するサーバの場合は、サーバ上のファイルへのCOPYの場合にのみ復帰/改行("\r\n")を出力します。 プラットフォームをまたがる一貫性のために、サーバのプラットフォームにかかわらず、COPY TO STDOUTは常に"\n"を送信します。 COPY FROMは、改行、復帰、復帰/改行を行末として扱うことができます。 データを意図したバックスラッシュのない改行や復帰によるエラーの危険性を減らすために、COPY FROMは、入力行の行末が全て共通でない場合に警告を発します。
この形式オプションは、スプレッドシートなど他の多くのプログラムで使用されるカンマ区切り値(CSV)ファイル形式をインポート、エキスポートするために使用されます。 PostgreSQLの標準テキスト形式で使用されるエスケープ規則の代わりに、一般的なCSVのエスケープ機構を生成、認識します。
各レコードの値はDELIMITER文字で区切られます。 区切り文字、QUOTE文字、NULL文字列、復帰、改行文字を含む値の場合、全体の値の前後にQUOTE文字が付与されます。値の中でQUOTE文字やESCAPE文字が現れる場合、その前にエスケープ用の文字が付与されます。 また、FORCE_QUOTEを使用して、特定列内の非NULL値を出力する時に強制的に引用符を付与することもできます。
CSV形式にはNULL値と空文字列とを区別する標準的な方法はありません。 PostgreSQLのCOPYでは引用符によってこれを区別しています。 NULLはNULLパラメータの文字列として出力され、引用符で囲まれません。 一方、NULLパラメータの文字列に一致する非NULL値は引用符で囲まれます。 たとえばデフォルトの設定では、NULLは引用符付けのない空文字列として出力され、空文字列のデータ値は2つの引用符("")で出力されます。 データの読み込みの際も同様の規則に従います。 FORCE_NOT_NULLを使用して、特定列に対しNULL入力の比較を行わないようにすることもできます。 またFORCE_NULLを使うことで、引用符付きのNULL文字列のデータの値をNULLに変換することもできます。
CSV形式ではバックスラッシュは特別な文字ではありませんので、データ終端記号\.がデータ値として現れることがあります。 誤った解釈を防ぐために、行内の唯一の項目として\.というデータ値が現れる場合、出力に自動的に引用符が付けられます。 また、入力では引用符で括られた場合データ終端記号として解釈されません。 他のアプリケーションで作成されたファイルをロードしようとする場合、引用符で括られない列が1つあるだけで、それが\.という値を持つ可能性があるなら、入力ファイル内のこうした値を引用符で括る必要があります。
注意: CSV形式では文字はすべて意味を持ちます。 空白文字で括られた引用符付きの値などDELIMITER以外のすべての文字がこうした文字に含まれます。 これにより、固定長にするためにCSVの行に空白文字を埋めるシステムから取り出したデータをインポートする時にエラーが発生する可能性があります。 このような状況になった場合、PostgreSQLにデータをインポートする前に、そのCSVファイルから余分な空白を除去する前処理が必要になります。
注意: CSV形式は、復帰文字や改行文字が埋め込まれ引用符で囲まれた値を含むCSVファイルを認識し、生成します。 したがって、このファイルでは、テキスト形式とは異なり、1つのテーブル行が1行で表されているとは限りません。
注意: 奇妙な(時には間違った)CSVファイルを生成するプログラムは多く存在するので、このファイル形式は標準というよりも慣習と言えるものです。 したがって、この機能でインポートできないファイルが存在するかもしれませんし、COPYが他のプログラムで処理できないファイルを生成するかもしれません。
binary形式オプションにより、すべてのデータはテキストではなくバイナリ形式で書き込み/読み取りされるようになります。 テキストやCSV形式よりも多少高速になりますが、バイナリ形式のファイルはマシンアーキテクチャやPostgreSQLのバージョンをまたがる移植性が落ちます。 またバイナリ形式はデータ型に非常に依存します。 たとえば、smallint列からバイナリデータを出力し、それをinteger列として読み込むことはできません。同じことをテキスト形式で実行すれば動作するのですが。
binaryファイルの形式は、ファイルヘッダ、行データを含む0以上のタプル、ファイルトレーラから構成されます。 ヘッダとデータはネットワークバイトオーダです。
注意: 7.4以前のリリースのPostgreSQLでは異なるバイナリファイル形式を使用していました。
ファイルヘッダは15バイトの固定フィールドとその後に続く可変長ヘッダ拡張領域から構成されます。 固定フィールドは以下の通りです。
PGCOPY\n\377\r\n\0という11バイトの並びです。 この署名の必須部分にNULLバイトが含まれていることに注意してください (この署名は、8ビットを通過させない転送方式によってファイルが破損した場合、これを容易に識別できるように設計されています。 署名は、改行コード変換やNULLバイトの削除、上位ビット落ち、パリティの変更などによって変化します)。
このファイル形式の重要な部分となる32ビット整数のビットマスクです。 ビットには0(LSB) から31(MSB)までの番号が付いています。 このフィールドは、このファイル形式で使用される他の全ての整数フィールドも同様、ネットワークバイトオーダ(最上位バイトが最初に現れる)で保存されていることに注意してください。 ファイル形式上の致命的な問題を表すために、16-31ビットは予約されています。 この範囲に想定外のビットが設定されていることが判明した場合、読み込み先は処理を中断しなければなりません。 後方互換における形式の問題を通知するために、0-15ビットは予約されています。 この範囲に想定外のビットが設定されていても、読み込み先は無視すべきです。 現在、1つのビットだけがフラグビットとして定義されており、残りは0でなければなりません。
1ならば、OIDがデータに含まれています。 0ならば、含まれていません。
自分自身を除いた、ヘッダの残り部分のバイト長を示す32ビットの整数です。 現在、これは0となっており、すぐ後に最初のタプルが続きます。 今後、ヘッダ内に追加データを格納するような形式の変更があるかもしれません。 読み込み側では、ヘッダ拡張データの扱いがわからない場合、そのデータをスキップしなければなりません。
ヘッダ拡張領域は、それ自身で認識することができる塊の並びを保持するために用意されています。 フラグフィールドは読み込み先に拡張領域の内容を知らせるものではありません。 ヘッダ拡張内容の個々の設計は今後のリリースのために残してあります。
この設計によって、後方互換性を維持するヘッダの追加(ヘッダ拡張チャンクの追加や下位フラグビットの設定)と後方互換性のない変更(変更を通知するための高位フラグビットの設定や必要に応じた拡張領域へのサポート情報追加)の両方に対応できます。
全てのタプルはタプル内のフィールド数を表す16ビットの整数から始まります(現時点では、テーブル内の全てのタプルは同一のフィールド数を持つことになっていますが、今後、これは変更される可能性があります)。 その後に、タプル中のそれぞれのフィールドが続きます。これらのフィールドには、先頭にフィールドデータが何バイトあるかを表す32ビット長のワードが付けられています (このワードが表す長さには自分自身は含まれません。したがって、0になることもあります)。 特殊な値としてNULLフィールドを表す-1が用意されています。 このNULLが指定された場合、値用のバイトはありません。
フィールド間には整列用のパッドやその他の余計なデータはありません。
現在、バイナリ形式のファイル内の全てのデータ値は、バイナリ形式(形式コード1)であると想定されています。 将来の拡張によって、列単位に形式コードを指定するヘッダフィールドが追加される可能性があります。
実際のタプルデータとして適切なバイナリ形式を決定するためには、PostgreSQLのソース、特に各列のデータ型用の*send
関数と*recv
関数(通常はソースの配布物内のsrc/backend/utils/adtディレクトリにあります)を調べなければなりません。
このファイルにOIDが含まれる場合、OIDフィールドがフィールド数ワードの直後に続きます。 これは、フィールド数に含まれない点を除いて、通常のフィールドです。 特に長さワードがありますが、苦労することなく、4バイトのOIDも8バイトのOIDも扱うことができます。 また、これにより、望ましいと判断されれば、OIDをNULLとして表示することができます。
次の例では、フィールド区切り文字として縦棒(|)を使用してテーブルをクライアントにコピーします。
COPY country TO STDOUT (DELIMITER '|');
ファイルからcountryテーブルにデータをコピーします。
COPY country FROM '/usr1/proj/bray/sql/country_data';
名前が'A'から始まる国のみをファイルにコピーします。
COPY (SELECT * FROM country WHERE country_name LIKE 'A%') TO '/usr1/proj/bray/sql/a_list_countries.copy';
圧縮したファイルにコピーするためには、以下のように出力を外部の圧縮プログラムにパイプで渡すことができます。
COPY country TO PROGRAM 'gzip > /usr1/proj/bray/sql/country_data.gz';
これはSTDINからテーブルにコピーするのに適したデータの例です。
AF AFGHANISTAN AL ALBANIA DZ ALGERIA ZM ZAMBIA ZW ZIMBABWE
各行の空白文字は実際にはタブ文字であることに注意してください。
以下は同一のデータをバイナリ形式で出力したものです。 データをUnixユーティリティod -cを使ってフィルタしたものを示します。 テーブルには3列あり、最初のデータ型はchar(2)、2番目はtext、3番目はintegerです。 全ての行の3列目はNULL値です。
0000000 P G C O P Y \n 377 \r \n \0 \0 \0 \0 \0 \0 0000020 \0 \0 \0 \0 003 \0 \0 \0 002 A F \0 \0 \0 013 A 0000040 F G H A N I S T A N 377 377 377 377 \0 003 0000060 \0 \0 \0 002 A L \0 \0 \0 007 A L B A N I 0000100 A 377 377 377 377 \0 003 \0 \0 \0 002 D Z \0 \0 \0 0000120 007 A L G E R I A 377 377 377 377 \0 003 \0 \0 0000140 \0 002 Z M \0 \0 \0 006 Z A M B I A 377 377 0000160 377 377 \0 003 \0 \0 \0 002 Z W \0 \0 \0 \b Z I 0000200 M B A B W E 377 377 377 377 377 377
標準SQLにはCOPY文はありません。
以下の構文は、PostgreSQLバージョン9.0より前に使用されていたもので、まだサポートされています。
COPY table_name [ ( column_name [, ...] ) ] FROM { 'filename' | STDIN } [ [ WITH ] [ BINARY ] [ OIDS ] [ DELIMITER [ AS ] 'delimiter' ] [ NULL [ AS ] 'null string' ] [ CSV [ HEADER ] [ QUOTE [ AS ] 'quote' ] [ ESCAPE [ AS ] 'escape' ] [ FORCE NOT NULL column_name [, ...] ] ] ] COPY { table_name [ ( column_name [, ...] ) ] | ( query ) } TO { 'filename' | STDOUT } [ [ WITH ] [ BINARY ] [ OIDS ] [ DELIMITER [ AS ] 'delimiter' ] [ NULL [ AS ] 'null string' ] [ CSV [ HEADER ] [ QUOTE [ AS ] 'quote' ] [ ESCAPE [ AS ] 'escape' ] [ FORCE QUOTE { column_name [, ...] | * } ] ] ]
この構文では、BINARYとCSVがFORMATオプションの引数ではなく、独立したキーワードとして扱われることに注意してください。
以下の構文は、PostgreSQLバージョン7.3より前に使用されていたもので、まだサポートされています。
COPY [ BINARY ] table_name [ WITH OIDS ] FROM { 'filename' | STDIN } [ [USING] DELIMITERS 'delimiter' ] [ WITH NULL AS 'null string' ] COPY [ BINARY ] table_name [ WITH OIDS ] TO { 'filename' | STDOUT } [ [USING] DELIMITERS 'delimiter' ] [ WITH NULL AS 'null string' ]