PostgreSQLによるTABLESAMPLE
句の実装は、SQL標準が求めるBERNOULLI
とSYSTEM
のメソッドに加え、ユーザ定義のテーブルサンプリングメソッドをサポートしています。
サンプリングメソッドは、TABLESAMPLE
句が使用された際にどの行が選択されるかを決定します。
SQLレベルでは、テーブルサンプリングメソッドは、以下の呼び出し形式を持ち、典型的にはCで実装された単一のSQLの関数で表現されます。
method_name(internal) RETURNS tsm_handler
関数の名前はTABLESAMPLE
句に現れるメソッド名と同じです。
internal
引数は、ダミー(常に0の値を持つ)で、単にこの関数がSQLコマンドから直接呼ばれるのを防ぐために用意されています。
関数の戻り値は、pallocされたTsmRoutine
型の構造体でなければなりません。
その構造体の中には、サンプリングメソッド用のサポート関数へのポインタが含まれています。
サポート関数は普通のC関数で、SQLレベルからは見ることも呼び出すこともできません。
サポート関数は57.1で説明されています。
関数へのポインタに加え、TsmRoutine
構造体は以下の追加のフィールドを提供しなければなりません。
List *parameterTypes
このサンプリングメソッドが使用される際に、TABLESAMPLE
句が受け付ける引数のデータ型のOIDが格納された、OIDのリストです。
たとえば、組み込みのメソッドに対しては、このリストは、サンプリングのパーセンテージを表すFLOAT4OID
という値を持つ単一の要素が含まれています。
カスタムサンプリングメソッドは、複数の異なるパラメータを持つことができます。
bool repeatable_across_queries
true
の場合、もし毎回同じ引数とREPEATABLE
シード値が提供され、テーブル内容に変更がないならば、サンプリングメソッドは実行されたどの問い合わせに対しても、同一のサンプルを出力することができます。
false
の場合は、サンプリングメソッドを使用する際にREPEATABLE
句を受け付けません。
bool repeatable_across_scans
true
の場合、サンプリングメソッドは同じ問い合わせ内で実行されたどのスキャンに対しても、同一のサンプルを出力することができます(パラメータ、シード値、スナップショットに変更がない、という前提で)。
false
の場合、プランナは、サンプル対象のテーブルを2度以上スキャンする必要のあるようなプランは選択しません。
問い合わせの結果に不整合が発生する可能性があるからです。
TsmRoutine
構造体はsrc/include/access/tsmapi.h
で宣言されています。
詳細はそちらをご覧ください。
標準配布物に含まれるテーブルサンプリングメソッドは、自分でサンプリングメソッドを書く際に良いお手本になります。
組み込みのサンプリングメソッドに関しては、ソースツリー中のsrc/backend/access/tablesample
サブディレクトリを見てください。
追加のメソッドに関してはcontrib
サブディレクトリを見てください。