PostgreSQLでは、B-tree、Hash、GiST、SP-GiST、GIN、BRIN、そしてブルーム拡張といった複数の種類のインデックスを使用可能です。
インデックスの各種類は、異なる種類のインデックス可能な句に最も適した、異なるアルゴリズムを使用します。
デフォルトでCREATE INDEX
コマンドは、B-treeインデックスを作成し、それは最も一般的な状況に適合します。
他のインデックスの種類は、キーワードUSING
の後にインデックス種類名を記述することで選択されます。
例えば、ハッシュインデックスを作成するには、次のようにします。
CREATE INDEXname
ONtable
USING HASH (column
);
B-treeインデックスは、ある順番でソート可能なデータに対する等価性や範囲を問い合わせることを扱うことができます。 具体的には、PostgreSQLの問い合わせプランナは、インデックスの付いた列を次の演算子を使用して比較する場合に、B-treeインデックスの使用を検討します。
< <= = >= >
また、BETWEEN
やIN
などのこれらの演算子の組み合わせと等価な式もB-treeインデックス検索で実装することができます。
インデックスの付いた列に対するIS NULL
やIS NOT NULL
でもB-treeインデックスを使用することができます。
オプティマイザは、パターンマッチ演算子LIKE
、~
を含む問い合わせでも、そのパターンが定数であり、先頭文字列を指定しているのであればB-treeインデックスを使用することができます。
例えば、col LIKE 'foo%'
またはcol ~ '^foo'
では使用されますが、col LIKE '%bar'
では使用されません。
しかし、データベースがCロケールを使用していない場合、パターンマッチ問い合わせのインデックス付けをサポートする特別な演算子クラスでインデックスを作成しなければなりません。
後述の11.10を参照してください。
なお、ILIKE
と~*
でもB-treeインデックスを使用することができますが、パターンが英字以外の文字、つまり、大文字小文字の違いの影響がない文字で始まる場合のみです。
B-treeインデックスをソートされた順序でデータを受けとるために使用することもできます。 これは常に単純なスキャンとソート処理より高速になるものではありませんが、よく役に立つことがあります。
ハッシュインデックスは、インデックスの付いた列の値から算出される32ビットのハッシュコードを格納します。 したがって、ハッシュインデックスは単純な等価性比較のみを扱うことができます。 問い合わせプランナでは、インデックスの付いた列を以下の等号演算子を使用して比較する場合は常に、ハッシュインデックスの使用を検討します。
=
GiSTインデックスは単一種類のインデックスではなく、多くの異なるインデックス戦略を実装することができる基盤です。 したがって、具体的なGiSTインデックスで使用できる演算子はインデックス戦略(演算子クラス)によって異なります。 例えば、PostgreSQLの標準配布物には、複数の二次元幾何データ型用のGiST演算子クラスが含まれており、以下の演算子を使用してインデックス付けされた問い合わせをサポートします。
<< &< &> >> <<| &<| |&> |>> @> <@ ~= &&
(これらの演算子の意味については9.11を参照してください。)
標準配布物に含まれるGiST演算子クラスは表 68.1に記載されています。
他の多くのGiST演算子クラスがcontrib
群や別のプロジェクトとして利用可能です。
詳細は第68章を参照してください。
GiSTインデックスは以下のような「最近傍」検索を最適化する機能も持ちます。
SELECT * FROM places ORDER BY location <-> point '(101,456)' LIMIT 10;
これは指定された対象地点に最も近い10箇所を見つけ出します。 この場合も、これができるかどうかは使用される特定の演算子クラスに依存します。 このように利用できる演算子は表 68.1の「順序付け演算子」列に表示されています。
SP-GiSTインデックスは、GiSTインデックスと同様に様々な種類の検索を支援する基盤を提供します。 SP-GiSTインデックスは広域な異なる不均衡でディスクベースのデータ構造、つまり、四分木,kd木、基数木のような実装を認めます。 例えば、PostgreSQL標準配布物には、以下の演算子を使用する問い合わせに対するインデックスをサポートする2次元の点用のSP-GiST用の演算子クラスが含まれています。
<< >> ~= <@ <<| |>>
(これらの演算子の意味については9.11を参照してください。) 標準配布物に含まれるSP-GiST演算子クラスは表 69.1に記載されています。 詳細は 第69章を参照してください。
GiSTと同様に、SP-GiSTは「最近傍」検索をサポートします。 距離の順序付けをサポートするSP-GiST演算子クラスの場合、対応する演算子は表 69.1の「順序付け演算子」列に一覧表示されます。
GINは「転置インデックス」であり、配列などのように複数の要素を持つデータ値に適しています。 転置インデックスは各要素値に対して別々のエントリを持っており、特定の要素値の存在について検査する問い合わせを効率的に処理できます。
GiSTやSP-GiST同様、GINも多くの異なるユーザ定義のインデックス戦略を持つことができ、GINが使用できる具体的な演算子はインデックス戦略によって変化します。 例えば、PostgreSQL標準配布物には、配列用のGIN演算子クラスが含まれており、これらは、以下の演算子を使用するインデックスによる問い合わせをサポートします。
<@ @> = &&
(これらの演算子の意味については9.19を参照してください。)
標準配布物に含まれるGIN演算子クラスは表 70.1に記載されています。
他の多くのGIN演算子クラスはcontrib
群または別のプロジェクトで利用可能です。
詳細は第70章を参照してください。
BRINインデックス(ブロックレンジインデックス(Block Range INdex)を縮めたものです)はテーブルの連続的な物理ブロックの範囲に格納された値についての要約を格納します。 したがって、これらの値は、テーブル行の物理的な順序とよく相関している列に最も効果的です。 GiST、SP-GiST、GINと同じように、BRINは多くの異なるインデックス戦略をサポートし、BRINインデックスが使用できる具体的な演算子はインデックス戦略によって変化します。 線形のソート順を持つデータ型では、インデックス付けされたデータは各ブロックレンジの列の中の値の最小値と最大値に対応しています。 これは以下の演算子を使用したインデックスによる問い合わせをサポートします。
< <= = >= >