本節では、PostgreSQLクライアントインタフェースライブラリで提供されるラージオブジェクトへのアクセス手段について説明します。 これらの関数を使用したラージオブジェクトの操作は全てSQLトランザクションブロック内で行われなければなりません。 (この必要条件はPostgreSQL 6.5から厳密に強制されています。以前のバージョンでは暗黙的な必要条件であったため、守られなかった場合におかしな振舞いになってしまいました。)
libpqのラージオブジェクトインタフェースを使用するクライアントアプリケーションは、libpq/libpq-fs.hヘッダファイルをインクルードし、libpqライブラリとリンクしなければなりません。
Oid lo_creat(PGconn *conn, int mode);
この関数はラージオブジェクトを新規に作成します。 modeは、新規オブジェクトの多くの各種属性を記述するビットマスクです。 ここで使われる定数シンボルはlibpq/libpq-fs.hヘッダファイルで定義されています。 アクセス種類(読み取り、書き込み、もしくはその両方)は、INV_READビットとINV_WRITEビットの論理和を取ることで制御されます。 このマスクの下位16ビットは、過去バークレイにおいて、ラージオブジェクトを格納する、格納管理番号を識別するために使用されていました。 現在、これらのビットは常にゼロでなければなりません。 (このアクセス種類は実際には何も行いませんが、フラグビットの片方または両方はエラーを防ぐために設定されなければなりません。) 戻り値は新規ラージオブジェクトに割り当てられたOIDで、失敗時にはInvalidOid(0)が返されます。
以下に例を示します。
inv_oid = lo_creat(conn, INV_READ|INV_WRITE);
オペレーティングシステム上のファイルをラージオブジェクトとしてインポートするには、以下の関数を呼び出します。
Oid lo_import(PGconn *conn, const char *filename);
filenameには、ラージオブジェクトとしてインポートするオペレーティングシステム上のファイルのパス名を指定します。 戻り値は、新規ラージオブジェクトに割り当てられたOIDです。 失敗時はInvalidOid(0)が返されます。 このファイルがサーバではなく、クライアントインタフェースライブラリから読み取られることに注意してください。 ですから、このファイルはクライアントのファイルシステム上に存在し、クライアントアプリケーションから読み取り可能でなければなりません。
ラージオブジェクトをオペレーティングシステム上のファイルにエクスポートするには、以下の関数を呼び出します。
int lo_export(PGconn *conn, Oid lobjId, const char *filename);
lobjId引数には、エクスポートさせるラージオブジェクトのOIDを指定し、filename引数には、オペレーティングシステム上のファイルのパス名を指定します。 このファイルはサーバではなく、クライアントインタフェースライブラリによって書き込まれることに注意してください。 成功時には1、失敗時にはー1が返されます。
読み取りまたは書き込みのために既存のラージオブジェクトを開く場合は、以下の関数を呼び出します。
int lo_open(PGconn *conn, Oid lobjId, int mode);
lobjIdには開きたいラージオブジェクトのOIDを指定します。 modeの各ビットは、そのオブジェクトを読み取りのみ(INV_READ)、書き込みのみ(INV_WRITE)、またはその両方できるように開くのかを制御するものです。 作成していないラージオブジェクトを開くことはできません。 lo_openは、lo_read、lo_write、lo_lseek、lo_tell、lo_closeで使用する(非負の)ラージオブジェクト記述子を返します。 この記述子は現在のトランザクション期間のみで有効です。 失敗時には-1が返されます。
int lo_write(PGconn *conn, int fd, const char *buf, size_t len);
この関数は、len長のバイトを、bufからfdラージオブジェクト記述子に書き込みます。 fd引数は事前に実行したlo_openの戻り値でなければいけません。 実際に書き込まれたバイト数が返されます。 エラーが発生した場合は、負の値を返します。
int lo_read(PGconn *conn, int fd, char *buf, size_t len);
この関数は、len長のバイトを、fdラージオブジェクト記述子からbufに読み込みます。 fd引数は事前に実行したlo_openの戻り値でなければいけません。 実際に読み込まれたバイト数が返されます。 エラーが発生した場合は、負の値を返します。
ラージオブジェクト記述子に関連付けされている、現在の読み取り、または、書き込みを行う位置を変更するには、以下の関数を呼び出します。
int lo_lseek(PGconn *conn, int fd, int offset, int whence);
この関数はfdで識別されるラージオブジェクト識別子の現在の位置を指すポインタを、offset で指定した新しい位置に変更します。 whenceに指定可能な値は、SEEK_SET(オブジェクトの先頭位置からシーク)、SEEK_CUR(現在位置からシーク)、SEEK_END(オブジェクトの末尾位置からシーク)のいずれかです。 戻り値は新しい位置ポインタで、エラー時にー1が返されます。
ラージオブジェクト記述子の現在の読み取り、書き込み位置を入手するには、以下の関数を呼び出します。
int lo_tell(PGconn *conn, int fd);