PostgreSQL 9.0.4文書 | ||||
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プライマリサーバに障害が起こると、スタンバイサーバはフェールオーバ処理を始めなければなりません。
スタンバイサーバが故障した場合、フェールオーバは不要です。 多少の時間の後に、スタンバイサーバを再起動できれば、再起動可能なリカバリのため、リカバリ処理も即座に再起動することができます。 スタンバイサーバを再起動できなければ、新しい完全なスタンバイサーバのインスタンスを作成しなければなりません。
プライマリサーバに障害が起こりスタンバイサーバが新しいプライマリとなり、その後古いプライマリが再起動した場合、もはやプライマリサーバでなくなっていることを古いプライマリに知らせる機構が必要です。 これはSTONITH (Shoot the Other Node In The Head)と一部ではいわれています。 これは、混乱と最悪はデータ損失をもたらしかねない、両方のシステムが自身をプライマリとして認識してしまう状況を防ぐために必要です。
多くのフェールオーバーシステムではプライマリとスタンバイといった2つのシステムを使用します。 なんらかのハートビート機構でプライマリとスタンバイを接続し、両者の接続性とプライマリの実行能力を継続的に確認します。 また、第3のシステム(証言サーバと呼ばれます)を使用して、不適切なフェールオーバなどの状況を防ぐこともできます。 しかし、さらに複雑になりますので、十分な注意と厳密な検証の元に設定を行わない限り行う意味がありません。
PostgreSQLは、プライマリサーバの障害を識別し、スタンバイデータベースサーバに通知するために必要なシステムソフトウェアを提供しません。 こうしたツールは多く存在し、IPアドレスの移行といったフェールオーバを成功させるために必要な機能をオペレーティングシステムにうまく統合させています。
スタンバイサーバへのフェールオーバが起きた後、運用可能なサーバは1つしかありません。 これは縮退状態として知られています。 以前のスタンバイサーバはプライマリサーバになり、以前のプライマリは停止し、その後も停止し続けるかもしれません。 通常の運用に戻すには、スタンバイサーバを再作成しなければなりません。 以前のプライマリサーバが起動できれば、これを使用しても構いませんし、第三のおそらく新規のシステムを使用しても構いません。 完了すれば、プライマリとスタンバイの役割が切り替わったとみなすことができます。 新しいスタンバイサーバを再作成するまでに第三のサーバを使用して新しいプライマリのバックアップを提供することを選択する人もいますが、これがシステム構成と運用手順を複雑にすることは明らかです。
プライマリサーバからスタンバイサーバへの切り替えは高速ですが、フェールオーバクラスタを再度準備するのに多少時間が必要です。 それぞれのシステムを保守のために定期的に停止することができるので、プライマリからスタンバイへの定期的切り替えは有益です。 これは同時に、必要になった時、フェールオーバ機構が実際に機能するかどうかを確認する試験としても役立ちます。 管理手順の文書化を勧めます。
ログシッピングを行うスタンバイサーバのフェールオーバを発生させるためには、recovery.conf内のtrigger_file設定によって指定されるファイル名とパスを持つトリガファイルを作成してください。 trigger_fileが指定されていない場合、スタンバイにおけるリカバリを終了させて、スタンバイをマスタに昇格させる方法がありません。 これは例えば、プライマリから読み取り専用の問い合わせによる負荷を軽減させるためだけに使用し、高可用性を目的としていない、報告用サーバとして有用です。