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35.6. 関数の変動性分類

すべての関数は変動性区分を持ちます。 取り得る区分は、VOLATILESTABLE、もしくはIMMUTABLEです。 CREATE FUNCTIONコマンドで分類の指定がなければデフォルトでVOLATILEになります。 変動性に関する分類は、その関数の動作に関するオプティマイザへの約束事です。

最適化の結果を最善にするためには、関数に対して有効かつ最も厳密な変動性区分を付けなければなりません。

副作用を持つ関数はすべてVOLATILEと付けなければなりません。 こうした関数は最適化することができないためです。 関数が副作用を持たなかったとしても、単一問い合わせ内で値が変動する場合はVOLATILEと付けなければなりません。 例えば、random()currval()timeofday()などです。

その他の重要な例は、current_timestamp系列の関数は、それらの値がトランザクション内で変わらないことから、STABLEと見なされます。

計画作成を行い、すぐに実行されるような単一の対話式問い合わせを考えた場合、相対的にSTABLE区分とIMMUTABLE区分との違いはあまりありません。 このような場合、関数が計画作成中に一度実行されるか、問い合わせ実行中に一度実行されるかがあまり問題になりません。 しかし、計画が保存され、後で再利用される場合は大きな違いが現れます。 本来ならば関数が計画作成段階で早めに定数を保持することができない場合にIMMUTABLEを付けると、その後にこの計画を使用する時に古くて意味のない値が再利用されてしまうことになります。 これは、プリペアド文や計画をキャッシュする関数言語(PL/pgSQLなど)を使用する場合は危険です。

SQLもしくは標準手続き言語で作成された関数では、変動性分類で決定される2番目に重要な性質があります。 すなわち、その関数を呼び出すSQLコマンドによりなされてきたすべてのデータ変更の可視性です。 VOLATILE関数はそのような変更を捕らえますが、STABLEまたはIMMUTABLE関数はそうしません。 この動作はMVCC(第13章を参照)のスナップショット処理の動作を使用して実装されています。 STABLEIMMUTABLE関数は、呼び出す問い合わせの開始時点で成立したスナップショットを使用しますが、VOLATILE関数はそれぞれの問い合わせの実行開始時点の作りたてのスナップショットを取得します。

注意: しかし、C言語で作成された関数は、どのようにでもスナップショットを管理することができますが、通常C関数でもこのように動作させることは良い考えです。

このスナップショット処理の動作のため、同時実行の問い合わせによって別途変更されている可能性があるテーブルから選択していたとしても、SELECTコマンドのみを含む関数は、安全にSTABLEとすることができます。 PostgreSQLは、呼び出し元の問い合わせに対して確立されたスナップショットを使用してSTABLE関数のすべてのコマンドを実行します。 したがってその問い合わせの間、データベースに対して固定された視点で値を参照することになります。

IMMUTABLE関数内のSELECTコマンドも同様のスナップショット処理の動作を使用します。 ただし、一般的に、IMMUTABLE関数内でデータベースのテーブルを検索(SELECT)することは勧められません。 テーブルの内容が変わってしまった場合にその普遍性が壊れてしまうためです。 しかし、PostgreSQLでは強制的に検索(SELECT)できないようにはしていません。

よくあるエラーは、設定パラメータに依存する結果となる関数にIMMUTABLEと付けることです。 例えば、タイムスタンプを操作する関数は、おそらくTimeZoneの設定に依存した結果になります。 こうした関数は、安全のため代わりにSTABLEと付けてください。

注意: PostgreSQLリリース8.0より前のリリースでは、STABLE関数とIMMUTABLE関数がデータベースを変更できないという必要条件がシステムによって禁止されていませんでした。 リリース8.0以降では、この区分のSQL関数や手続き言語関数に対してSELECT以外のSQLコマンドを含めないことを必要条件とすることにより、これを禁止しています。 (こうした関数はまだデータベースを変更するVOLATILE関数を呼び出すことができますので、これは防弾条件として完全ではありません。 これを行うと、STABLEもしくはIMMUTABLE関数は、そのスナップショットからそれらが隠されていることから、呼び出した関数によるデータベースの変更に気がつきません。)