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2.5. 継承

2つのテーブルを作ってみましょう。capitals というテーブルで保持される州都は、市(cities)でもあります。capitals テーブルは cities テーブルから継承されるべきだというのが自然な流れでしょう。

CREATE TABLE cities (
    name            text,
    population      float,
    altitude        int     -- (in ft)
);

CREATE TABLE capitals (
    state           char(2)
) INHERITS (cities);

この場合、capitalsの行はすべての属性(name(名前)、population(人口)、altitude(高度))を親テーブルの cities から 継承 します。name属性の型は PostgreSQL 固有の可変長 ASCII 文字列である text 型です。population属性の型はPostgreSQL固有の倍精度浮動小数点数用の float 型です。州都にはさらに、state という州を示す属性が追加されます。PostgreSQLでは、テーブルは 0 個以上のテーブルから継承することができ、問い合わせはテーブルのすべての行を参照することも、テーブルとその子孫すべての行を参照することも可能です。

Note: 継承の階層は非循環有向グラフです。

たとえば、次の問い合わせは、州都を含む、高度が500フィート以上にあるすべての市を見つけます。

SELECT name, altitude
    FROM cities
    WHERE altitude > 500;

この結果は以下のようになります。

   name    | altitude
-----------+----------
 Las Vegas |     2174
 Mariposa  |     1953
 Madison   |      845

一方、次の問い合わせは、高度が 500 フィート以上にあり州都ではないすべての市を見つけます。

SELECT name, altitude
    FROM ONLY cities
    WHERE altitude > 500;

   name    | altitude
-----------+----------
 Las Vegas |     2174
 Mariposa  |     1953

ここで、cities の前の "ONLY" は、この問い合わせは cities のみを対象とし、cities を継承したテーブルは対象外としなければならないことを表します。これまでに説明した多くのコマンド、SELECTUPDATEDELETE は、この "ONLY" という構文をサポートしています。

場合によっては、ある特定のタプルがどのテーブルからきたものか知りたいということがあるかもしれません。それぞれのテーブルには "TABLEOID" という、元になったテーブルを示すシステム列があります。

SELECT c.tableoid, c.name, c.altitude
FROM cities c
WHERE c.altitude > 500;

この結果は以下のようになります。

 tableoid |   name    | altitude
----------+-----------+----------
   139793 | Las Vegas |     2174
   139793 | Mariposa  |     1953
   139798 | Madison   |      845

(この例を複製しようとすると、おそらく異なる数値 OID が与えられるでしょう。) pg_class と結合することで、テーブルの実際の名前が判ります。

SELECT p.relname, c.name, c.altitude
FROM cities c, pg_class p
WHERE c.altitude > 500 and c.tableoid = p.oid;

この結果は以下のようになります。

 relname  |   name    | altitude
----------+-----------+----------
 cities   | Las Vegas |     2174
 cities   | Mariposa  |     1953
 capitals | Madison   |      845

改善のために仕様変更された部分: PostgreSQL の以前のバージョンでは、デフォルトでは子テーブルにアクセスすることができませんでした。 これは間違いのもとであり、また SQL 標準にも違反しています。古い構文では、サブテーブルを得るためには * をテーブル名に付加していました。たとえば下記のようになります。

SELECT * from cities*;

現在でも * を付加することで子テーブルのスキャンを明確に指定したり、"ONLY" を書くことで子テーブルをスキャンしないことを明確にすることができます。しかしバージョン 7.1 からは、何も指定されていないテーブル名のデフォルト動作では子テーブルもスキャンします。 逆に、以前のデフォルトはそうしないことでした。以前のデフォルト動作で作業をしたい場合は設定オプション SQL_Inheritance をoffにして下さい。 以下に例を示します。

SET SQL_Inheritance TO OFF;

または、postgresql.conf に1行追加して下さい。

継承機能の制限として、(一意性制約を含む)インデックス、および、外部キーは、そのテーブルのみに適用され、それを継承した子テーブルには適用されないことがあります。従って、上の例で、他のテーブルの列に REFERENCES cities(name) を指定すると、そのテーブルは市の名前を持つことはできますが、州都の名前を持つことはできません。この欠陥は将来のリリースでおそらく修正されます。