PostgreSQLは、表8-17に示すように、IPv4アドレス、IPv6アドレス、MACアドレスを格納するデータ型を提供します。 これらのデータ型は入力値のエラー検査と専用の演算子と関数を複数提供していますので、普通のテキストデータ型の代わりにこちらを使うことをお勧めします。 (項9.11を参照してください。)
表 8-17. ネットワークアドレスデータ型
名前 | 格納サイズ | 説明 |
---|---|---|
cidr | 12もしくは24バイト | IPv4、およびIPv6ネットワーク |
inet | 12もしくは24バイト | IPv4もしくはIPv6ホスト、および、ネットワーク |
macaddr | 6バイト | MACアドレス |
inetもしくはcidrをソートする時、IPv4アドレスは常にIPv6よりも前にソートされます。 ::10.2.3.4 or ::ffff::10.4.3.2などIPv6アドレス内に埋め込まれた、もしくは、関連付けされたIPv4アドレスも同様です。
inet型はIPv4もしくはIPv6ホストアドレスとオプションでそのホストアドレスが所属するサブネット識別情報を1つのフィールドに保持します。 サブネット識別情報はホストアドレスの内何ビットがネットワークアドレス("netmask")を表すかを指定することで表現されます。 もしネットマスクが32の場合、IPv4では単一ホストを意味し、サブネットを示しません。 IPv6ではアドレス長は128ビットです。 そのため128ビットが一意なホストアドレスを指定します。 ネットワークのみを使用したい場合はinetではなくcidr型を利用してください。
このデータ型に対する入力書式は、IPv4、IPv6両方ともaddress/yです。 yがネットマスクのビット数です。 もし/yの部分を省略するとネットマスクはIPv4では32、IPv6では128となり、つまり、その値は単一ホストを表現します。 ネットマスクが単一ホストを表す場合、その表示時、/yの部分は抑制されます。
cidrデータ型はIPv4、IPv6ネットワーク仕様を保持します。 入出力書式はクラス分けのないインターネットドメインルーティング協定に従います。 ネットワークを指定する時の書式はaddress/yで、addressがIPv4もしくはIpv6アドレスで表したネットワークです。 yはネットマスクのビット数です。 もしyが省略された場合には、入力時に書き込まれたオクテット全てが含まれるように大きさが確保されること以外は、従来のクラス付きアドレス番号指定システムに従って計算されます。 指定したネットマスクの右側にビットをセットしたネットワークアドレスを指定するとエラーになります。
表8-18に例がいくつかあります。
表 8-18. cidrデータ型入力例
cidr 入力 | cidr 出力 | abbrev(cidr) |
---|---|---|
192.168.100.128/25 | 192.168.100.128/25 | 192.168.100.128/25 |
192.168/24 | 192.168.0.0/24 | 192.168.0/24 |
192.168/25 | 192.168.0.0/25 | 192.168.0.0/25 |
192.168.1 | 192.168.1.0/24 | 192.168.1/24 |
192.168 | 192.168.0.0/24 | 192.168.0/24 |
128.1 | 128.1.0.0/16 | 128.1/16 |
128 | 128.0.0.0/16 | 128.0/16 |
128.1.2 | 128.1.2.0/24 | 128.1.2/24 |
10.1.2 | 10.1.2.0/24 | 10.1.2/24 |
10.1 | 10.1.0.0/16 | 10.1/16 |
10 | 10.0.0.0/8 | 10/8 |
10.1.2.3/32 | 10.1.2.3/32 | 10.1.2.3/32 |
2001:4f8:3:ba::/64 | 2001:4f8:3:ba::/64 | 2001:4f8:3:ba::/64 |
2001:4f8:3:ba:2e0:81ff:fe22:d1f1/128 | 2001:4f8:3:ba:2e0:81ff:fe22:d1f1/128 | 2001:4f8:3:ba:2e0:81ff:fe22:d1f1 |
::ffff:1.2.3.0/120 | ::ffff:1.2.3.0/120 | ::ffff:1.2.3/120 |
::ffff:1.2.3.0/128 | ::ffff:1.2.3.0/128 | ::ffff:1.2.3.0/128 |
inetデータ型とcidrデータ型との基本的な相違は、inetではネットマスクの右側に0でないビット値を受け付けますが、cidrでは受け付けないことです。
ティップ: もしinetもしくはcidrの値の出力書式が気に入らないのであれば、関数host()、text()、および abbrev()を試してください。
macaddrデータ型はMACアドレス、つまり、Ethernetカードのハードウェアアドレスを保持します(MACアドレスは他の目的でも使われますが)。 以下を含む様々な形式の入力が受け入れられます。
'08002b:010203' |
'08002b-010203' |
'0800.2b01.0203' |
'08-00-2b-01-02-03' |
'08:00:2b:01:02:03' |
PostgreSQLのソース配付物のcontrib/macディレクトリにはMACアドレスとハードウェア製造メーカ名の対応に使用できるツールが含まれています。