SELECT [ ALL | DISTINCT [ ON ( expression [, ...] ) ] ] * | expression [ AS output_name ] [, ...] [ FROM from_item [, ...] ] [ WHERE condition ] [ GROUP BY expression [, ...] ] [ HAVING condition [, ...] ] [ { UNION | INTERSECT | EXCEPT } [ ALL ] select ] [ ORDER BY expression [ ASC | DESC | USING operator ] [, ...] ] [ LIMIT { count | ALL } ] [ OFFSET start ] [ FOR { UPDATE | SHARE } [ OF table_name [, ...] ] [ NOWAIT ] ] " --> ここでfrom_itemは以下のいずれかです。 " --> [ ONLY ] table_name [ * ] [ [ AS ] alias [ ( column_alias [, ...] ) ] ] ( select ) [ AS ] alias [ ( column_alias [, ...] ) ] function_name ( [ argument [, ...] ] ) [ AS ] alias [ ( column_alias [, ...] | column_definition [, ...] ) ] function_name ( [ argument [, ...] ] ) AS ( column_definition [, ...] ) from_item [ NATURAL ] join_type from_item [ ON join_condition | USING ( join_column [, ...] ) ]
SELECTは0個以上のテーブルから行を返します。 SELECTの一般的な処理は以下の通りです。
FROMリストにある全要素が計算されます (FROMリストの要素は実テーブルか仮想テーブルのいずれかです)。 FROMリストに複数の要素が指定された場合、それらはクロス結合されます (後述のFROM句を参照してください)。
WHERE句が指定された場合、条件を満たさない行は全て出力から取り除かれます (後述のWHERE句を参照してください)。
GROUP BY句が指定された場合、1つまたは複数の値が条件に合う行ごとにグループに分けて出力されます。 HAVING句が指定された場合、指定した条件を満たさないグループは取り除かれます (後述のGROUP BY句とHAVING句を参照してください)。
実際には、選択された各行に対して、SELECT出力式を使用して計算した結果の行が出力されます (後述のSELECTリストを参照してください)。
UNION、INTERSECT、EXCEPT演算子を使用すると、複数のSELECT文の出力を1つの結果集合にまとめることができます。 UNION演算子は、両方の結果集合に存在する行と、片方の結果集合に存在する行を全て返します。 INTERSECT演算子は、両方の結果集合に存在する行を返します。 EXCEPT演算子は、最初の結果集合にあり、2番目の結果集合にない行を返します。 ALLが指定されない限り、いずれの場合も、重複する行は取り除かれます (後述のUNION句、INTERSECT句、EXCEPT句を参照してください)。
ORDER BY句が指定された場合、返される行は指定した順番でソートされます。 ORDER BYが指定されない場合は、システムが計算過程で見つけた順番で行が返されます (後述のORDER BY句を参照してください)。
DISTINCTは結果から重複行を取り除きます。 DISTINCT ONは指定した全ての式に一致する行を取り除きます。 ALLでは、重複行も含め、全ての候補行を返します(これがデフォルトです。 詳しくは、後述のDISTINCT句を参照してください)。
LIMITあるいはOFFSET句が指定された場合、SELECT文は結果行の一部分のみを返します (詳しくは、後述のLIMIT句を参照してください)。
FOR UPDATEまたはFOR SHARE句を指定すると、SELECT文は引き続き行われる更新に備えて選択行をロックします (詳しくは、後述のFOR UPDATE/FOR SHARE句を参照してください)。
テーブルから値を読み取るにはSELECT権限が必要です。 FOR UPDATEまたはFOR SHAREを使用するには、さらに、UPDATE権限が必要です。
FROM句にはSELECTの対象となるソーステーブルを1つ以上指定します。 複数のソースが指定された場合、結果は全てのソースの直積(クロス結合)となります。 しかし、通常は制約条件を付けて、直積のごく一部を返すように結果行を限定します。
FROM句には以下の要素を指定できます。
既存のテーブルもしくはビューの名前です(スキーマ修飾名も可)。 ONLYが指定された場合、そのテーブルのみがスキャンされます。 ONLYが指定されない場合、テーブルと(存在すれば)それを継承する全てのテーブルがスキャンされます。 子テーブルのスキャンは、テーブル名に*を付けた形式で指定することもできますが、現在のバージョンではデフォルトで行われます (7.1より前のリリースでは、ONLYがデフォルトでした)。 デフォルトの振舞いを変更するには、sql_inheritance設定オプションを変更します。
別名を含むFROMアイテムの代替名です。 別名は、指定を簡潔にするため、もしくは、自己結合(同じテーブルを複数回スキャンする結合)の曖昧さをなくすために使われます。 別名が指定されている場合は、その別名によって実際のテーブル名または関数名が完全に隠されます。 例えば、FROM foo AS fと指定されている場合、以降のSELECT文ではこのFROMアイテムをfooではなくfとして参照する必要があります。 テーブルの別名があれば、そのテーブルの複数の列の名前を置き換える列の別名リストを記述することができます。
FROM句では、副SELECTを使うことができます。 SELECTコマンドの実行中、副SELECTの出力は一時テーブルであるかのように動作します。 副SELECTは括弧で囲まれなければなりません。また、必ず別名を与えておかなければなりません。
FROM句では、関数呼び出しを使用することができます (これは特に関数が結果セットを返す場合に有用ですが、任意の関数を使用することもできます)。 SELECTコマンドの実行中は、この関数の結果は一時テーブルであるかのように動作します。 また、別名を使用することもできます。 別名が指定されていれば、さらに列の別名リストを指定して、関数の複合型の戻り値の属性に対する代替名を提供することもできます。 関数がrecordデータ型を返すと定義されている場合は、別名すなわちASキーワードと、それに続く(column_name data_type [, ... ])という形式の列定義リストが必要です。 列定義リストは、関数によって返される実際の列の数およびデータ型に一致していなければなりません。
以下のいずれかです。
[ INNER ] JOIN
LEFT [ OUTER ] JOIN
RIGHT [ OUTER ] JOIN
FULL [ OUTER ] JOIN
CROSS JOIN
INNERおよびOUTER結合型では、結合条件、すなわち、NATURAL, ON join_condition、USING (join_column [, ...])のいずれか1つのみを指定する必要があります。 それぞれの意味は後述します。 CROSS JOINでは、これらの句を記述しなくても構いません。
JOIN句は、2つのFROMアイテムを結び付けます。 入れ子の順番を決めるために、必要ならば括弧を使用してください。 括弧がないと、JOINは左から右へ入れ子にします。 どのような場合でもJOINは、カンマで分けられたFROM項目よりも強い結び付きを持ちます。
CROSS JOINとINNER JOINは直積を1つ生成します。これは、FROMの最上位で2つの項目を結合した結果と同一です。 しかし、(指定すれば)結合条件によって制限をかけることができます。 CROSS JOINはINNER JOIN ON (true)と等価であり、条件によって削除される行はありません。 これらの結合型は記述上の便宜のためだけに用意されています。 したがって、通常のFROMとWHEREを実行しなければ何も行いません。
LEFT OUTER JOINは、条件に合う直積の全ての行(つまり、その結合条件を満たす全ての組み合わせ)に加え、左側テーブルの中で、右側テーブルには結合条件を満たす行が存在しなかった行のコピーも返します。 この左側テーブルの行を結合結果のテーブルの幅に拡張するために、右側テーブルが入る列にはNULL値が挿入されます。 マッチする行を決める時は、JOIN句自身の条件のみが考慮されることに注意してください。 他の外部結合条件は後で適用されます。
逆に、RIGHT OUTER JOINは、全ての結合行と、左側テーブルに当てはまるものがなかった右側の行(左側はNULLで拡張されています)の1行ずつを返します。 左右のテーブルを入れ替えればLEFT OUTER JOINに変換できるので、RIGHT OUTER JOINは記述上の便宜を図るため用意されているに過ぎません。
FULL OUTER JOINは、全ての結合行に加え、一致しなかった左側の行(右側はNULLで拡張)、一致しなかった右側の行(左側はNULLで拡張)を全て返します。
join_conditionは、結合においてどの行が一致するかを指定する、boolean型の値を返す式です(WHERE句に類似しています)。
USING ( a, b, ... )句はON left_table.a = right_table.a AND left_table.b = right_table.b ...の省略形です。 USINGは等価な列の両方ではなく片方のみが結合の出力に含まれることを意味します。
NATURALは、2つのテーブル内の同じ名前を持つ行を全て指定したUSINGリストの省略形です。
WHERE句は通常以下の形式となります(この句は省略可能です)。
WHERE condition
conditionは、評価の結果としてboolean型を返す任意の式です。 この条件を満たさない行は全て出力から取り除かれます。 全ての変数に実際の行の値を代入して、式が真を返す場合、その行は条件を満たすとみなされます。
GROUP BY句は通常以下の形式となります(この句は省略可能です)。
GROUP BY expression [, ...]
GROUP BYは、グループ化のために与えられた式を評価し、結果が同じ値になった行を1つの行にまとめる機能を持ちます。 expressionには、入力列の名前、出力列(SELECTリスト項目)の名前/序数、あるいは入力列の値を計算する任意の式を取ることができます。 判断がつかない時は、GROUP BYの名前は出力列名ではなく入力列名として解釈されます。
集約関数が使用された場合、各グループ内の全ての行を対象に計算が行われ、結果としてグループごとの値が生成されます (一方GROUP BYがなければ、集約関数は選択された全ての行を対象に計算を行い、1つの値を生成します)。 GROUP BYが存在する場合、集約関数内部以外で、グループ化されていない列を参照するSELECTリストは無効になります。 グループ化されていない列について返される値は複数の値になってしまう可能性があるからです。
HAVINGは通常以下の形になります(この句は省略可能です)。
HAVING condition
conditionはWHERE句で指定するものと同じです。
HAVINGは、グループ化された行の中で、条件を満たさない行を取り除く機能を持ちます。 HAVINGとWHEREは次の点が異なります。 WHEREが、GROUP BYの適用前に個々の行に対してフィルタを掛けるのに対し、HAVINGは、GROUP BYの適用後に生成されたグループ化された行に対してフィルタをかけます。 condition内で使用する列は、集約関数内で使用されたものを除き、グループ化された列を一意に参照するものでなければなりません。
HAVING句があると、GROUP BY句がなかったとしても問い合わせはグループ化された問い合わせになります。 GROUP BY句を持たない問い合わせが集約関数を含む場合も同様です。 選択された行はすべて、1つのグループを形成するものとみなされます。また、SELECTリストとHAVING句では、集約関数が出力するテーブル列しか参照することができません。 こうした問い合わせでは、HAVINGが真の場合には単一の行を、真以外の場合は0行を出力します。
SELECTリスト(SELECTとFROMの間にあるキーワード)は、SELECT文の出力行を形成する式を指定するものです。 この式では、FROM句で処理後の列を参照することができます(通常は実際に参照します)。 AS output_nameを使用すると、出力列に元の名前とは別の名前を付けることができます。 この名前は、主に表示用の列ラベルとして使われます。 また、ORDER BY句とGROUP BY句内で列の値を参照する時も、この名前を使用できます。 しかし、WHEREやHAVING句では使用できません。これらでは式を書かなければなりません。
リストには、選択された行の全ての列を表す省略形として、式ではなく*と書くことができます。 また、そのテーブルに由来する列のみを表す省略形として、table_name.*と書くこともできます。
UNIONは通常以下の形式となります。
select_statement UNION [ ALL ] select_statement
select_statementには、ORDER BY、LIMIT、FOR UPDATE、FOR SHARE句を持たない任意のSELECT文が入ります (ORDER BYとLIMITは、括弧で囲めば複式として付与することができます。 括弧がない場合、これらの句は右側に置かれた入力式ではなく、UNIONの結果に対して適用されてしまいます)。
UNION演算子は、2つのSELECT文が返す行の和集合を作成します。 この和集合には、2つのSELECT文の結果集合のいずれか(または両方)に存在する行が全て含まれています。 UNIONの直接のオペランドとなるSELECT文同士が返す列数は、同じでなければなりません。また、対応する列のデータ型には互換性が存在する必要があります。
ALLオプションが指定されていない限り、UNIONの結果には重複行は含まれません。 ALLを指定するとこのような重複除去が行われません (したがって、通常UNION ALLはUNIONよりかなり高速です。 できるだけALLを使用してください)。
1つのSELECT文に複数のUNION演算子がある場合、括弧がない限り、それらは左から右に評価されます。
現時点では、UNIONの結果やUNIONに対する入力に、FOR UPDATEまたはFOR SHAREを指定することはできません。
INTERSECTは通常以下の形式となります。
select_statement INTERSECT [ ALL ] select_statement
select_statementには、ORDER BY、LIMIT、FOR UPDATE、FOR SHARE句を持たない、任意のSELECT文が入ります。
INTERSECTは、2つのSELECT文が返す行の積集合を計算します。 この積集合に含まれるのは、2つのSELECT文の結果集合の両方に存在する行です。
ALLオプションを指定しない限り、INTERSECTの結果に重複行は含まれません。 ALLが指定された場合、左側テーブルにm個、右側テーブルにn個の重複がある行は、結果集合ではmin(m,n)個出現します。
1つのSELECT文に複数のINTERSECT演算子がある場合、括弧がない限り、それらは左から右に評価されます。 INTERSECTはUNIONよりも強い結び付きを持ちます。 つまり、A UNION B INTERSECT C はA UNION (B INTERSECT C)と解釈されます。
現時点では、INTERSECTの結果やINTERSECTに対する入力に、FOR UPDATEまたはFOR SHAREを指定することはできません。
EXCEPTは通常以下の形式となります。
select_statement EXCEPT [ ALL ] select_statement
select_statementには、ORDER BY、LIMIT、FOR UPDATE、FOR SHARE句を持たない、任意のSELECT文が入ります。
EXCEPTは、左側のSELECT文の結果には存在し、右側のSELECT文の結果には存在しない行の集合を生成します。
ALLオプションが指定されていない限り、EXCEPTの結果には重複行は含まれません。 ALLがある場合、左側テーブルにm個、右側テーブルにn個の重複がある行は、結果集合ではmax(m-n,0)個出現します。
1つのSELECT文に複数のEXCEPT演算子がある場合、括弧がない限り、それらは左から右に評価されます。 EXCEPTの結び付きの強さはUNIONと同じです。
現時点では、EXCEPTの結果やEXCEPTに対する入力に、FOR UPDATEまたはFOR SHAREを指定することはできません。
ORDER BY句は通常以下の形式となります(この句は省略可能です)。
ORDER BY expression [ ASC | DESC | USING operator ] [, ...]
expressionには、出力列(SELECTリスト項目)の名前/序数、あるいは入力列値から形成される任意の式を取ることができます。
ORDER BY句を使うと、結果行を指定した式に従ってソートすることができます。 最も左側の式を使って比較した結果、2つの行が等しいと判断された場合は、1つ右側の式を使って比較します。その結果も等しければ、さらに次の式に進みます。 指定した全ての式で等しいと判断された場合は、実装に依存した順番で返されます。
序数は、結果列の位置(左から右に割り当てられます)を示します。 これを使うと、一意な名前を持たない列の順序を定義することができます。 AS句を使用すれば結果列に名前を割り当てることができるので、これはどうしても必要な機能というわけではありません。
また、ORDER BY句には、SELECT結果リストに出現しない列を含む、任意の式を使用できます。 したがって、以下の文は有効です。
SELECT name FROM distributors ORDER BY code;
ただし、UNION、INTERSECT、EXCEPTの結果にORDER BYを適用する場合は、式は使用できず、出力列の名前か序数のみを指定できるという制限があります。
ORDER BYの式として結果列名と入力列名の両方に一致する単なる名前が与えられた場合、ORDER BYはそれを結果列名として扱います。 これは、同じ状況におけるGROUP BYの選択とは反対です。 この不整合は、標準SQLとの互換性を保持するために発生しています。
ORDER BY中の任意の式の後に、省略可能なキーワードASC(昇順)、DESC(降順)を付加することができます。 指定がなければ、デフォルトでASCがあるものとして扱われます。 その他、順序を指定する演算子名をUSING句に指定する方法もあります。 通常、ASCはUSING <と、DESCはUSING >と同じです (ただし、ユーザ定義データ型の作成時には、デフォルトのソート順を定義することができます。また、異なる名前の演算子と対応付けすることもできます)。
NULL値は他の値よりも上位の値としてソートされます。 言い換えると、ソート順が昇順の時はNULL値は最後に、降順の時はNULL値は最初にソートされます。
文字型データでは、データベースクラスタの初期化時に決定されるロケール指定の照合順に従ってソートされます。
DISTINCTが指定されると、重複する行は全て結果セットから削除されます (それぞれ1行のみが保持されます)。 ALLはこの反対で、全ての行が保持されます。 デフォルトはこちらです。
DISTINCT ON ( expression [, ...] )は各行集合の中で、指定した式が等しいと評価した最初の行のみを保持します。 DISTINCT ON式は、上述のORDER BYと同じ規則で扱われます。 各集合の"最初の行"は、ORDER BYを使用して目的の行が確実に最初に現れるようにしない限り予測することはできません。 例えば、次の例は各地点の最新の気象情報を取り出します。
SELECT DISTINCT ON (location) location, time, report FROM weather_reports ORDER BY location, time DESC;
ORDER BYを使用して各地点を時間によって降順にソートしなければ、各地点について得られる情報がいつのものかはわかりません。
DISTINCT ONに指定する式はORDER BYの最も左側の式と一致しなければなりません。 ORDER BY句は、通常、各DISTINCT ONグループの中での行の優先順位を決定する追加的な式を含みます。
LIMIT句は2つの独立した副句から構成されます。
LIMIT { count | ALL } OFFSET start
countには返される行の最大数を、一方、startには行を返し始める前に飛ばす行数を指定します。 両方とも指定された場合、start行分が飛ばされ、そこから数えてcount行が返されます。
LIMITを使う時は、結果行を一意な順番に強制するORDER BY句を使うとよいでしょう。 そうしないと、問い合わせ結果のどの部分が返されるのかがわかりません。 10〜20行目までを出力するとしても、どの順番で並べた時の10〜20行目なのでしょうか。 ORDER BYを指定しない限り、行が返される順番は不明です。
問い合わせプランナは問い合わせ計画を作成する時にLIMITを考慮するので、LIMITとOFFSETの指定によって異なった計画を得ることになるでしょう。計画が異なれば、異なる順番で行が返ります。 したがって、LIMIT/OFFSET値の変更によって異なる結果行を選択しようとすると、ORDER BYで順序を並び替えない限り、矛盾した結果を返すことになります。 これはバグではありません。 「SQLは、ORDER BYで順序を制御されない限り、問い合わせ結果が返す順序を約束しない」という事実の当然の帰結なのです。
FOR UPDATEは以下の形式となります。
FOR UPDATE [ OF table_name [, ...] ] [ NOWAIT ]
深く関連するFOR SHARE句は以下の形式となります。
FOR SHARE [ OF table_name [, ...] ] [ NOWAIT ]
FOR UPDATEを使用すると、問い合わせによって検索された行が更新用にロックされます。 これにより、現行のトランザクションが終了するまでは、これらの行が他のトランザクションによって変更されたり削除されたりすることがなくなります。 つまり、現行のトランザクションが終了するまでは、他のトランザクションがこれらの行に対してUPDATE、DELETE、SELECT FOR UPDATEを試行しても拒否されます。 また、他のトランザクションからのUPDATE、DELETE、SELECT FOR UPDATEによって選択した行がロックされている場合、SELECT FOR UPDATEを実行しようとすると、SELECT FOR UPDATEはそのトランザクションが終了するのを待ってから、その後行をロックして更新された行を返します(行が削除された場合は返しません)。 詳細は第12章を参照してください。
他のトランザクションのコミットを待機することなく操作を進めるには、NOWAITオプションを使用してください。 選択行のロックを即座に獲得できない時、SELECT FOR UPDATE NOWAITは待機せずに、エラーを報告します。 NOWAITは行レベルロックにのみに適用される点に注意してください。 つまり、必要なROW SHAREテーブルレベルロックは通常通りの方法( 第12章参照)で獲得されます。 もし、テーブルレベルのロックを待機せずに獲得しなければならないのであれば、LOCKのNOWAITオプションを使用してください。
FOR SHAREも同様に振舞いますが、入手する行に対し排他的ロックを獲得するのではなく共有ロックを獲得する点が異なります。 共有ロックにより、他トランザクションによるその行に対するUPDATE、DELETE、SELECT FOR UPDATE操作はブロックされます。 しかし、他トランザクションによるSELECT FOR SHARE操作を防ぎません。
現時点では、単一のSELECT文でFOR UPDATEとFOR SHAREの両方を指定することはできません。 また、文の異なる部分にて、NOWAITと通常の待機モードの両方を使用することもできません。
FOR UPDATEまたはFOR SHARE内に特定のテーブルが指定されている場合は、そのテーブルの行のみがロックされます。 SELECT内の他のテーブルは通常通りに読み込まれます。
FOR UPDATEおよびFOR SHAREは、返される行がテーブルのどの行に対応するのかが明確に識別できない場合には使用することができません。 例えば、集約には使用できません。
注意 |
--> 行をロックしてから後のセーブポイントやPL/pgSQL例外ブロックでその行を編集することは避けてください。 後のロールバックでロックが失われてしまいます。 以下に例を示します。 BEGIN; SELECT * FROM mytable WHERE key = 1 FOR UPDATE; SAVEPOINT s; UPDATE mytable SET ... WHERE key = 1; ROLLBACK TO s; ROLLBACK後、行は、サーブポイント前のロックされた更新前の状態に戻らず、実質ロックされません。 現在のトランザクションでロックされた行が更新されたり削除されたりした場合や、共有ロックが排他ロックに向上した場合、これは危険です。 すべての場合において、以前のロック状態が忘れられています。 トランザクションがその後、元のロックコマンドと続く更新の間の状態にロールバックした場合、その行はロックされていない状態として現れます。 これは実装上の問題であり、将来のPostgreSQLリリースで修正する予定です。 |
LIMIT句とFOR UPDATE/SHARE句の両方を使用したSELECTコマンドでは、LIMITで指定した行数よりも少ない行が返される場合があります。 これはLIMITがまず最初に適用されるためです。 このコマンドは指定した行数分の行を選択しますが、その一部あるいはすべてに対するロックの取得がブロックされる可能性があります。 このSELECTのブロックが解除された時点で、行は削除されているかもしれませんし、また、問い合わせのWHERE条件に合わなくなっているかもしれません。 このような場合、行は返されません。
filmsテーブルをdistributorsテーブルと結合します。
SELECT f.title, f.did, d.name, f.date_prod, f.kind FROM distributors d, films f WHERE f.did = d.did title | did | name | date_prod | kind -------------------+-----+--------------+------------+---------- The Third Man | 101 | British Lion | 1949-12-23 | Drama The African Queen | 101 | British Lion | 1951-08-11 | Romantic ...
全ての映画のlen列を合計しkind列によって結果をグループ化します。
SELECT kind, sum(len) AS total FROM films GROUP BY kind; kind | total ----------+------- Action | 07:34 Comedy | 02:58 Drama | 14:28 Musical | 06:42 Romantic | 04:38
全ての映画のlen列を合計しkind列によって結果をグループ化し、合計が5時間より少ないグループの合計を表示します。
SELECT kind, sum(len) AS total FROM films GROUP BY kind HAVING sum(len) < interval '5 hours'; kind | total ----------+------- Comedy | 02:58 Romantic | 04:38
次に、結果を2番目の列(name)の内容に基づいてソートする方法を2つ例示します。
SELECT * FROM distributors ORDER BY name; SELECT * FROM distributors ORDER BY 2; did | name -----+------------------ 109 | 20th Century Fox 110 | Bavaria Atelier 101 | British Lion 107 | Columbia 102 | Jean Luc Godard 113 | Luso films 104 | Mosfilm 103 | Paramount 106 | Toho 105 | United Artists 111 | Walt Disney 112 | Warner Bros. 108 | Westward
次の例は、distributorsテーブルとactorsテーブルの和集合を取得する方法を示しています。さらに、両方のテーブルで結果をWという文字で始まる行のみに限定しています。 重複しない行のみが必要なので、ALLキーワードは省略されています。
distributors: actors: did | name id | name -----+-------------- ----+---------------- 108 | Westward 1 | Woody Allen 111 | Walt Disney 2 | Warren Beatty 112 | Warner Bros. 3 | Walter Matthau ... ... SELECT distributors.name FROM distributors WHERE distributors.name LIKE 'W%' UNION SELECT actors.name FROM actors WHERE actors.name LIKE 'W%'; name ---------------- Walt Disney Walter Matthau Warner Bros. Warren Beatty Westward Woody Allen
次に、FROM句内での関数の使用方法について、列定義リストがある場合とない場合の両方の例を示します。
CREATE FUNCTION distributors(int) RETURNS SETOF distributors AS $$ SELECT * FROM distributors WHERE did = $1; $$ LANGUAGE SQL; SELECT * FROM distributors(111); did | name -----+------------- 111 | Walt Disney CREATE FUNCTION distributors_2(int) RETURNS SETOF record AS $$ SELECT * FROM distributors WHERE did = $1; $$ LANGUAGE SQL; SELECT * FROM distributors_2(111) AS (f1 int, f2 text); f1 | f2 -----+------------- 111 | Walt Disney
当然ながら、SELECT文は標準SQLと互換性があります。 しかし、拡張機能や実現されていない機能もいくつかあります。
PostgreSQLでは、FROM句を省略することができます。 これによって、以下のように単純な式を計算させることができます。
SELECT 2+2; ?column? ---------- 4
他のSQLデータベースでは、このようなSELECTを行うためにはダミーの1行テーブルを使わなければなりません。
FROM句の指定がない場合、問い合わせではデータベーステーブルを参照することができません。 例えば、以下の問い合わせは無効です。
SELECT distributors.* WHERE distributors.name = 'Westward';
PostgreSQLリリース8.1より前まででは、こうした形の問い合わせを受け付け、問い合わせで参照する各テーブルに対する暗黙的な項目を問い合わせのFROM句に追加していました。 これは、標準SQLに従っておらず、また、エラーを導きやすいため、デフォルトの動作ではなくなりました。 この動作に依存するアプリケーションにおける互換性を保つには、add_missing_from設定変数を有効にしてください。
標準SQLでは、省略可能なキーワードであるASは単なるノイズとして扱われ、省略しても影響はありません。 PostgreSQLのパーサは出力列の名前を変更する際にこのキーワードを必要とします。 なぜなら、型の拡張機能を考えると、このキーワードがないと構文解析の不明瞭さにつながるからです。 しかし、FROM項目ではASは省略可能です。
標準SQL-92では、ORDER BY句で使用できるのは、結果の列名か序数のみであり、GROUP BY句で使用できるのは、入力列名からなる式のみです。 PostgreSQLは、これらの句で両方が指定できるように拡張されています (ただし、不明瞭さがある場合は標準の解釈が使用されます)。 さらに、PostgreSQLではどちらの句にも任意の式を指定できます。 式で使われる名前は、常に結果列の名前ではなく入力列の名前とみなされることに注意してください。
SQL:1999以降では、SQL-92との上位互換性がまったくない、多少異なる定義が採用されています。 しかし、ほとんどの場合、PostgreSQLはSQL:1999と同じ方法でORDER BYやGROUP BYを解釈します。